主な経済情報
- 日銀、金融政策・先行き指針を維持 ETF買い入れ手法見直し
日銀は27―28日に開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を全員一致で決めた。2022年度の物価上昇率予想を目標の2%を上回る2.9%に引き上げたものの、23年度は1.6%と2%を下回った。海外経済の動向など経済の不確実性がきわめて高い中、金融緩和の継続で経済を下支えする。金融政策の先行き指針についても維持した。
決定会合で議論した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、22年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の政策委員見通しの中央値が前回7月の前年度比プラス2.3%からプラス2.9%に引き上げられた。23年度は前回のプラス1.4%からプラス1.6%に引き上げられた。
<必要なら躊躇なく追加緩和、先行き指針も維持>
短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う。10年物国債金利0.25%での指し値オペについて「明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施する」と改めて表明した。
金融政策の先行き指針も維持した。当面は新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、「必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を講じる」と表明した。政策金利は「現在の長短金利の水準またはそれを下回る水準で推移することを想定している」とした。
2%の物価目標の実現を目指し、これを安定的に持続するため必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する。マネタリーベースは、コアCPIの前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続するとした。
決定会合では、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ手法の見直しも決めた。12月1日から、原則として信託報酬率が最も低い銘柄を買い入れる。ETFを年12兆円の残高増加ペースを上限に必要に応じて購入する方針は維持した。
https://jp.reuters.com/article/boj-policy-idJPKBN2RN069
出所:ロイター
- 米個人消費支出、9月は0.6%増で予想上回る 高インフレ続く
米商務省が28日発表した9月の個人消費支出(PCE)は前月より0.6%増えた。市場予想の0.4%増を上回った。8月は前回発表の0.4%増から0.6%増に上方改定された。米商務省が28日発表した9月の個人消費支出(PCE)は前月より0.6%増えた。市場予想の0.4%増を上回った。8月は前回発表の0.4%増から0.6%増に上方改定された。(2022年 ロイター/Mark Makela)
基調的な高いインフレ圧力が続き、米連邦準備理事会(FRB)は11月1―2日に開く次回連邦公開市場委員会(FOMC)で75ベーシスポイント(bp)の利上げを4会合連続で決める方針だ。
個人消費は米経済活動の3分の2超を占める。9月は自動車、食品、衣類、処方薬、娯楽用品への支出が増加。モノへの消費は0.3%増と、3か月ぶりに増加に転じた。旅行や外食などのサービス支出は0.8%増加した。
ただ、家計が貯蓄を取り崩して消費に回している可能性があることも判明。貯蓄率が3.1%と、前月の3.4%から低下する一方、個人所得の伸びは0.4%と、前月と同水準にとどまった。
今回のデータは27日に発表された2022年第3・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値に含まれている。第3・四半期の個人消費は前期比で1.4%増と、第2・四半期の2.0%増から減速した。第3・四半期の内需はこの2年間で最も低調だった。
9月のPCE価格指数は前月から0.3%上昇。8月も同じ伸び率だった。9月の前年同月比は6.2%上昇し、8月の伸び率と同じだった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は9月に前月比0.5%上昇。8月も同じ上昇率だった。9月の前年同月比は5.1%上昇し、8月は4.9%上がっていた。
FRBは物価の指標としてPCE価格指数に注目しており、上昇率を前年比2%へ引き下げることを目指している。
労働省がこの日に発表した第3・四半期の雇用コスト指数(ECI)は堅調な伸びを示したものの、民間部門の賃金の伸びが大幅に鈍化し、インフレがピークに達したか、ピークに近づいていることが示唆された。
ただ、FWDBONDSのチーフ・エコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「インフレが懸念される中でも消費は継続しており、もう四半期は経済成長が続く」と予想。「需要の鈍化が要因でインフレ圧力が短期間に収束する可能性はない」との見方を示した。
JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「このところの消費支出の増加は、パンデミックの間に家計が積み上げた『過剰貯蓄』の取り崩しに支えられている」とし、「第4・四半期に向け、消費支出の勢いは衰えていない」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/us-private-consumption-oct-idJPKBN2RN1B4
出所:ロイター
主な要人発言
- 国際通貨基金(IMF)
「中国の不動産危機を早期に解決する策は見当たらない」
- シムカス・リトアニア中銀総裁
「ユーロ圏はテクニカルリセッションに陥る可能性が強い」 「12月は、量的緩和についてはペースと開始日に焦点をあてて討議するべき」
- 黒田日銀総裁
「我が国の景気は持ち直している」 「雇用、所得環境は全体として緩やかに改善」 「コアCPIの先行きは年末にかけて上昇」 「コアCPIの先行きは来年半ばにかけてプラス幅縮小」 「金融・為替市場の動向、経済物価への影響に十分注視」 「最近の円安は急速かつ一方的」 「(為替について)政府は方針にそって適切に判断している」 「YCC(イールドカーブコントロール)が円安をもたらすことはない」 「日米金利差のみで為替を解説するのは一面的」 「円安が人々の価値観を変えるチャンスとは思っていない」 「今すぐ利上げ・出口が来るとは考えていない」 「日本は円高で困ってきた歴史がある」 「金融政策は為替を目的にしていない」 「安定的な円安なら経済全体にプラスだが、業種・規模によって影響は不均一」
- ビルロワドガロー仏中銀総裁
「2-3年かけてインフレを2%に押し下げる」 「次回の理事会で、0.75%の利上げを実施することは義務ではない」 「次回の利上げは柔軟に対応」
- 岸田首相
「投機的な急激な為替変動はだれにも好ましくない」 「金融政策は為替だけでなく物価など総合的に判断するもの」 「過度の変動には適切に対応」